厚労省発表最新自治体別待機児童数は2万6千人。ワーストは世田谷・岡山・目黒・市川…

ワーストは世田谷区・岡山市・目黒区・市川市…

図表: 全国自治体別待機児童数ランキング(2017.4)ワースト100

出典:厚労省保育所等関連状況取りまとめ(2017.4.1)から高橋亮平作成

9月1日、厚生労働省が最新の2017年4月1日時点の全国の自治体別の待機児童数を発表した。
待機児童数は26,081人と前年比で2,528人も増える結果となった。
例年、待機児童数については、4月1日における状況で比較を行っている。
今年、待機児童が最も多かったのは、昨年同様に世田谷区だったが、その数は861人と昨年の1,198人から考えると▲337人と大きく減らした。
2位も昨年同様、岡山市で849人、3位は目黒区の617人、4位は市川市の576人、5位は大田区の572人、6位は明石市の547人、7位は大分市の463人、8位は沖縄市の440人、9位は江戸川区の420人、10位は府中市の383人・・・と続く。
待機児童数が50人以上いる自治体は128市区町村にまで上り、昨年の116市区町村から12も増えた。
ただ一方で全国の基礎自治体数は約1,800である事から考えると、限られたごく一部の自治体に集中して発生している問題だということが分かる。

待機児童数の1/3は東京、2位の沖縄はわずか9%、3位は千葉で7%

図表: 都道府県別待機児童数ランキング(2017.4)

出典:厚労省保育所等関連状況取りまとめ(2017.4.1)から高橋亮平作成

待機児童数については、全体の約1/3に当たる8,586人は東京都で発生しており、次いで多い沖縄県でも8.6%の2,247人、千葉県が6.9%の1,787人、以下、兵庫県が6.0%、福岡県5.0%、埼玉県4.8%、大阪府4.6%、岡山県4.0%、宮城県3.0%、神奈川県2.9%・・・と続く。
こうして見ると、東京都で集中的に起こっている事も分かるわけだが、一方で東京都周辺のベットタウンでは、都市間競争の中で、この待機児童問題の解消も含め、子育て政策の競争にもなっている。

千葉県の待機児童の1/3は市川市の失政で発生

図表: 千葉県内自治体別待機児童数ランキング(2017.4)ワースト10

出典:厚労省保育所等関連状況取りまとめ(2017.4.1)から高橋亮平作成

こうした中で、首長の政策や自治体の対応によって、大きな差が出てくる時代にもなってきてしまっている。
千葉県内における待機児童数が1,787人である事は紹介した通りだが、市川市の待機児童数576人(全国ワースト4位)というのは、県内の待機児童の32.2%にも上る。言い換えれば、千葉県の待機児童の約1/3は、市川市の失政で発生させてしまっていると言っても過言ではないのだ。

待機児童数については、今年に入ってからも1月に『<待機児童ランキング>自治体は待機児童を解決する気があるのか!ワーストは世田谷・岡山・那覇・市川…』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170117-00066658/)などを書いてきた。
とくに市川市の失政や今後の解決策を考える参考には4月に書いた『自治体別待機児童数を厚労省発表。ワーストは世田谷、那覇、市川…3位の市川市は実質1,110人で落第点』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170417-00069997/)を見てもらいたいと思う。
Statesmanに4月に掲載された冊子も参考になるので紹介しておく。

エビデンスに基づく解決策の提示と、自治体のリーダーシップが求められる

待機児童の問題が深刻になる一方で、先月末、武蔵野市吉祥寺では近隣住民の反対により開園延期になったというニュースが報じられた。
待機児童の問題は当事者にとっては大きな問題である一方で、多世代にとっては、住環境との兼ね合いの中でこうした問題が起こっているのもまた実態である。
市川市内においても、昨年同様の問題が起きた際、『「声うるさい」で市川市の保育園開園断念。ドイツでは法改正し子どもの声は騒音から除外』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20160414-00056585/)というコラムを書いた。
タイトルこそ過激ではあるが、本質的な問題は、「子どものために保育園開設をさせない住民が悪い」という事ではない。
待機児童の解消も含めて、女性活躍が推進されている社会の中で、それをサポートする社会の仕組みが整備されていない状況を改善していく事は、社会の責任とも言える。
こうした問題への対応は、民間に依存してできる問題ではなく、行政としてそれぞれの自治体がどういう方針で整えていくのかを明確に示す必要がある。
環境整備を民間に依存し、実現できない責任を住民に押し付けるというのはあまりにもお粗末である。
自治体間競争の中では、子育てについては主要政策にしないで多自治体に任せるという方針を出すならそれも選択である。
それならばその批判に対する責任を負えばいい。
しかし一方で、この問題に真剣に取り組むというのであれば、少なくとも現状やこれまでの状況についての情報は、明確に市民に示す必要がある。
これからの時代における政策形成は「エビデンス(根拠)」を明確に示した上で、データに基づいて行わなければならない。
まずは、自治体として、現場から将来ニーズと方向性をどう捉えているのかを明確に示した上で、それを解決する方法と環境を示していかなければならない。
市川市では11月に市長選挙が行われる。
この市長選挙に向けて、市議や県議がこの問題についても「待機児童の解消」などと言い出すのは目に見えているが、現職の市長同様、「待機児童の解消」と言って解消するわけではないし、できるのであれば、なぜ今まで「市議」、「県議」として、こんなにズサンな状況に対して、問題を指摘し改善策を提示してこなかったのかと思う。
政策の専門家として携わってきたプロであれば、ちょっと考えれば対応策はいくらでもある。
自分もこの街に住む有権者の一人として、明確な改善策を提示していきたいと思う。
みなさんの街でも実際はどういう事になっているのか、政治家たちは何を言ってきたのかをしっかりとチェックしてもらいたいと思う。