財政危機宣言について考えてみる。

熱海市が財政危機宣言したことが、マスコミなどで報道されました。
このことに対して、コメンテーターなどが、賛否両方意見を言っていました。
私の考えと、市川の財政状況についても触れておこうと思います。
はじめに、自治体は、民間の視点で見ればどこも似たり寄ったりで、かなり危機的状況だということは抑えておかなければなりません。
税収が今後極端に上がることが期待できない中では、歳出の削減を考えていかなければなりません。
そのためには、庁内におけるコンセンサスと、市民の同意を得る必要があり、危機感を煽って、協力してもらおうという側面があったようにも思います。
ただ、財政の健全化を考える際には、市民の皆さまの理解は不可欠であり、そういう意味では、一つの方法だったのではないかと思います。
一方で、本当にどの程度財政危機だったのかは、しっかり検証しなければなりません。
いつも資料に使っている日経新聞社の全国都市財政年報(2004年度決算)で、市川市と熱海市、さらに夕張市を比較してみました。

人口【市川】452,905
  【熱海】41,904
  【夕張】13,615
歳入合計【市川】114,877
    【熱海】20,425
    【夕張】19,349
歳出合計【市川】110,895
    【熱海】19,812
    【夕張】19,349

実質収支比率【市川】4.89 282位(6位/28)
      【熱海】5.87 201位(1位/6)
      【夕張】0.02 707位(34位/37)
(標準財政規模に対する実質収支の割合で、良好な財政運営を行っているかの指標)

人件費比率【市川】29.05 717位(27位/28)
     【熱海】28.34 705位(6位/6)
     【夕張】14.19 19位(1位/37)

投資的経費比率【市川】13.73 441位(15位/28)
       【熱海】12.81 479位(5位/6)
       【夕張】5.87 704位(37位/37)

経常収支比率【市川】87.4 205位(8位/28)
      【熱海】86.4 172位(1位/6)
      【夕張】116.3 732位(37位/37)
(財政構造の弾力化を示す指標です。人件費、扶助費、公債費など経常的に支出する経費に一般財源がどの程度使われているかを見るものです。80%を超えると財政が硬直しているとも言われたりします。)

公債費比率【市川】9.4 54位(2位/6)
     【熱海】19.3 593位(5位/6)
     【夕張】20.5 641位(28位/28)
(一般財源に対する地方債の償還及び利子の割合です。)

公債費負担比率【市川】11.33 89位(2位/28)
       【熱海】14.85 279位(3位/6)
       【夕張】21.23 650位(29位/37)

起債制限比率【市川】7.8 92位(2位/28)
      【熱海】15.2 689位(6位/6)
      【夕張】17.0 718位(34位/37)

財政力指数【市川】1.085 45位(1位/28)
     【熱海】1.007 72位(1位/6)
     【夕張】0.228 726位(35位/37)
(財政基盤の強さを表す指標です。標準的な行政活動を行うのに必要な財源をどのくらい自力で調達できるかを表し、大きいほど財政力が強いと言え、「1」を超えると普通交付税が交付されません。)

        ※ ( )内は、類似都市順位

人口規模がかなり違うため、単純な比較は、あまり意味がないとも思いますが、数字上で見るとどういう違いがあるのか、見比べて頂ければと思います。
私も今回はじめて熱海市や夕張市の状況を見たので、すぐに状況が分かるわけではありませんが、熱海市を見ると、公債費の比率が大きいのは、確かに気になります。
ただ、実質収支比率、経常収支比率、財政力指数のどれを見ても、むしろ健全な財政運営をしているように思います。
普通交付税が貰えないほど財政状況が健全な不交付団体が、財政危機だとすると、多くの自治体が財政危機ということになってしまうのではとも思います。
10年前に約132億円あった基金が約19億円にまで減ったことなども上げられていますが、基金の取り崩しは、実際にはどこの自治体も行っていることではないでしょうか。
財政見通しを行った結果、平成23年までの5年間で6,104百万円の赤字になることが、根拠のようですが、ここの部分は細かい根拠は分かりませんでしたが、歳入予測はほぼ横ばいであり、歳出改善で、十分対応できる範囲ではないかと思います。
市税収能率が低いのは上げていくべきだと思います。
特別会計への繰り出しがどんどん増えているのも気になります。
特別会計には、他の会計の経営(収支)状況に応じての赤字などの所要額を税等で穴埋めするものもあり、国保などやむを得ないものもあるでしょうが、見直しも必要そうです。
ただ、平成23年度に健全財政に戻すことを目標にしており、5年で健全に出来るくらいですから、全国の自治体の中でも逼迫した状況にあると言うことはなさそうな気がします。
ただ、今回の比較でも、市川市の人件費比率は高いことが分かります。
単純に人件費を削減するという対応をすべきだとは思いませんが、これも市川市の特徴です。
こうした財政については、普段見慣れないと中々分かりにくいので、市民の皆さまと一緒に考えていくためにも、市川の財政健全化計画なども含め、時間をとって書いていこうと思います。
今回の熱海市における財政危機宣言を見ていると、財政再建のために、一石をという想いが強かった気もします。
一方で、観光協会などから指摘されているように、観光都市だということを考えれば、都市ブランドの側面からの配慮は、あっても良かったのではないかとも思います。
財政危機宣言が都市ブランドに傷をつけるとすれば、そのことによって、間接的なものも含め観光収入が悪化し、逆に財政負担が増える可能性もあります。
都市経営の中では、財政だけに視点が行ってしまうと全体として都市の価値を損なう可能性もあるのではないかと思います。
逆に、こうしたことは想定済みで、メディアに取り上げられることで、観光が増えたりするようなことがあったり、財政健全後に観光を立て直す計画があったりと、観光や都市価値など将来的なものまで含めてシミュレーションしてやっているとしたら、なかなかなものだと思います。
こうした部分も今後も見て行きたいものです。